ドイツ料理の概要
ドイツ料理といえば「ソーセージ」が一番に思いつく方もいるはずです。もちろん、ソーセージも1つではありますが、ドイツにはもっといろいろな肉料理が存在します。
また、肉料理だけでなく、魚や野菜を使った料理も存在し、どれもこれもビールとの相性が抜群です。
ビール好きなら誰もが一度はあこがれるドイツ。この国の料理を深く知ることで、ビールがよりおいしくなることは間違いありません。
ドイツの自然環境
ドイツは南部をのぞいて、大部分が寒冷な土地となっています。日本の北海道よりも緯度が高く、寒い時期は日本と比べると長いです。
そのため、ヨーロッパ南部のフランスやイタリアに比べて食材は豊富ではありませんし、冬は食糧不足が発生します。その、食糧不足を防ぐために、漬けものなどの保存食が発達してきました。
また、寒冷な地でも農作物に比べると、気象条件を選ばない家畜の飼育がされ、それがドイツ料理ではよく出されます。
ドイツの地理や歴史から見た料理
歴史的にドイツは小さな国々が集まった連邦国家でした。そのため、地方によって料理に差が出ます。同じ料理でも地方によって味付けやソースは違うのです。
また、16世紀の大航海時代に南米から伝わった寒冷な地でも育つジャガイモは、ドイツで大歓迎され、利用されてきました。
地理的な視点では、南部は暖かく食材は豊富、北部は肉や保存の効く料理、唯一海に面した北西部では魚料理という具合に、地域の差があります。
ドイツ料理の味付け
基本的には塩味です。そこに、大航海時代に伝わった胡椒などの香辛料が合わさり、ドイツ料理の味付けとなります。
塩漬けした豚肉をゆでたり、野菜を塩漬けにしたりして、保存が効く状態にする必要があったからです。また、肉料理が多く、1つ1つが豪快な調理法であることも特徴となります。
ドイツ料理で使われる食材
肉類
「アルトバイエルン」といえば、伊藤ハムが出す有名なソーセージの商品名です。商品名の「アルト」はドイツ語の「昔ながら」、「バイエルン」はドイツの都市名からつけられています。
ソーセージやウィンナーで思いつく商品名には、ドイツ語が使われていることが多いです。
豚をはじめとして、牛、羊などの肉が主に使用されます。
ソーセージ以外にも肉料理が豊富です。とくに豚肉の消費量は世界でも中国、アメリカという人口大国に次いで第3位なので、豚肉が大好きな国であることが分かります。
ドイツ料理全体を見ても、メインが肉である料理が主なドイツ料理の地位を占めています。
魚介類
北部ドイツでは魚を酢やレモン汁に漬ける「マリネ」が有名です。
ドイツではマリネにニシンが使われることが多いです。マリネだけでなく、長期保存のためにウナギやサバを燻製状にして出すこともあります。ドイツ国内で唯一海に面している北部沿岸の料理として出されることが多いです。
ジャガイモ
冬の食糧不足が悩ましかったドイツでは、南米から伝わったジャガイモは重宝されました。
ジャガイモは寒冷な地でも育てることができ、主食にもなるからです。
野菜、麦類
春~夏にかけて作られた野菜を漬けものにしてピクルスにします。冬の保存食にするためです。
小麦はパンとして使用します。後に紹介しますが、プレッツェルというパンは薄く塩をまぶすパンです。ピクルスにしても、プレッツェルにしてもさすがヨーロッパ北部の塩味文化といったところでしょうか。
大麦は、ドイツ名産のビールに使用されます。
乳製品
家畜は食べるだけではありません。乳製品としても活用ができます。
バターの消費量はフランスパンの国に次いで、第2位で乳製品消費大国とも言えます。
ドイツの代表的な料理
ビール
いきなり飲み物ですが、ビールを語らずしてドイツ料理は語れません。
価格もジュースより安く、人々に愛されていることが良く分かります。日本では「レーベンブロイ」や「ベックス」が有名です。種類も非常に豊富で、お店でも日本よりもはるかに多くの種類が売られています。
ヴァイセ、ケルシュ、ピルスナー、ドルドムンターなど作り方をはじめとし、色、味、匂いにおいて1つ1つが違います。
日本で最も流通しているのはこの中のピルスナーです。ドイツ旅行でいろいろなビールを飲み、どれもおいしかったのを覚えていますが、個人的には結局日本人好みのピルスナーが1番おいしかったです。
プレッツェル
日本人にとっての米のような存在です。主食にはプレッツェルが良く出てきます。小麦の生地を棒状にして、ひもを結んだような形に成形したパンです。
焼く前に、ラウゲン液(水酸化ナトリウム)につけ、焼いた後に塩をまぶします。そのため、口に入れると若干しょっぱさを感じます。また、保存食用に作られたプレッツェルは若干硬めです。
ドイツ国民が愛して止まないパンで、世界中でも食べられており、日本にも同様の形をしたお菓子が売られています。
アイスヴァイン
塩漬けした豚のすね肉を野菜や香辛料と一緒に数時間煮込んだ料理です。これ1つだけでも十分お腹がいっぱいになるのですが、レストランで注文すると、大抵付け合わせでジャガイモとピクルスも一緒に出てきます。
塩メインの味付けですが、ドイツらしさを一番感じる料理で、片手にビールがあればいつまでも食べていられます。
ソーセージ
ドイツがビール大国なのは、ソーセージ文化が豊かだからではないでしょうか。価格もビールと同じく安く、駅前のホットドッグ屋で注文しても100円程度しかかかりません。
地域によっても種類は違い、ミュンヘンでは仔牛肉の白ソーセージ(ヴァイスヴルスト)が有名です。ソーセージにしてはさっぱりした味付けで、朝でもたくさん食べられます。
シュニッツェル
カツレツと思えばイメージしやすいです。一般的に牛肉が使われますが、豚肉や鶏肉を使うこともあります。
肉に小麦粉、溶き卵、パン粉をつけ、多めのバターあるいはラードで焼きます。黒胡椒で味付けされ、これまたビールと相性が良いです。お店や地域によって、ジャムやソースが違うので食べる場所によっても味が違います。
シュヴァイネブラーテン
簡単に言うとローストポークです。ローストポークのソースには、豚肉と野菜をビールで煮込むので、ドイツの食材が一同に会した料理とも言えます。
ドイツでは家庭料理として作られており、家庭の数だけ味があります。日本でいう「肉じゃが」に似たポジションの料理です。
寒冷で食材不足の国だからこそ、1つの食材に対する調理法や付け合わせ、保存法が探求された料理がドイツ料理と言えそうです。
主に肉類の料理がたくさん並び、ビール大国である理由がうかがい知れます。そのビールも多種多様のものがあり、ビール好きを満足させる国であることは間違いありません。
また、同じ料理でも地方が違えば味も変わるので、自分の足で現地まで訪れるのもいいかもしれません。
コメント