ハイチ料理の概要
ハイチは日本では知名度が極めて低い国ではありますがどのような国なのでしょう?
ハイチはカリブ海にある島国で、島内でドミニカ共和国と隣接しています。また、ハイチは世界最初のアフリカ系の独立国家となった国ではあるもののその後は慢性的な政情不安や度重なる自然災害などに見舞われ、しかも土地も痩せていたがためにいつしか最貧国のひとつになってしまいました。
そのため、隣国のドミニカ共和国との格差は非常に大きくなっているところが否めないハイチですが料理については極めて独特な特徴を持っているようです。
クレオール料理
ハイチ料理を一言で表せばクレオール料理という用語が当てはまります。
クレオール料理とはアメリカではかつてフランスの統治下にあったルイジアナ州の料理を指す用語ですが、ハイチを含むカリブ海地域及び中南米では西アフリカとフランスの食文化が融合してできたものを指します。
後者に当てはまる地域の共通点はフランスが植民地として統治していたこと、主な労働力は現在のガーナやコートジボワールから動員された奴隷であったことの2点があります。
これはハイチにも例外なくあてはまり、ハイチで見られる料理も例外なくフランス料理と西アフリカ料理の要素がブレンドした料理になっています。
もちろん、カリブ海ならではの食材も多用しますが中には植民地支配下から独立へと移った激動の歴史を反映した料理もあります。
ハイチ料理でよく使われる食材
それにしてもハイチ料理ではどのような食材が主に使われるのでしょうか?また、どのような使われ方がされるのでしょうか?それではさっそく見ていきましょう。
柑橘類
ハイチ料理では柑橘類を様々な場面でふんだんに多用します。
中でも特に肉や魚の料理についてはマリネするときや肉や魚を洗う際にライムジュースなどを使用するというのはよくあります。一概に柑橘類とは言っても土地柄なのか、気候のせいなのか、それとも品種のせいなのかは分かりませんが酸味と香りが強いので臭みがすぐにとれ、味がとてもよくなります。
ピマン
ピーマンではありません、ピマンと呼ばれる唐辛子です。
この唐辛子はシネンセ種と呼ばれるカリブ海品種の唐辛子で、特徴は辛さではなく、フルーティーな香りを演出できるほどの香りの良さにあり、肉料理などに使うタレなどに使用されます。
米
ハイチの主食は複数ありますが米は日本と同様に欠かすことのできない主食となっています。実際、ハイチは稲作は活発に行われていますが日本のようなうるち米というよりは縦長のバスマティ米に近い米になります。
パンの木の実
ハイチの主食として用いられる食材は米以外にパンの木の実が用いられており、これはもともとハイチに動員された奴隷の出身地域である西アフリカ(ガーナ、コートジボワールなど)の食文化に由来している節があります。
バナナ
こちらも主食になることがありますがおやつとして使われる方が多いです。バナナとはいってもここで使われるのはバナンと呼ばれる甘くないバナナで、茹でるかもしくは揚げて使うことが多いです。
豆類
主食というよりは具材なのですが主に煮物やスープなどに使用されることが多く、ご飯と併せて食べることも多いです。
カボチャ
かぼちゃはハイチの歴史をよく反映した食材で、植民地支配下では許可がないと使用することのできない食材でした。そのため、独立の象徴なっている食材になっています。
代表的なハイチ料理
ハイチ料理でよく使われる食材を先述のように紹介させていただきましたがここからは代表的なハイチ料理について紹介していきます。
今回紹介するのは数あるハイチ料理の内のごく一握りではありますが9種類の料理を中心に紹介していきます。
豆ごはん
先述した通り、ご飯と豆を併せて食べることも多く、このような料理はデュリ(フランス語のdu rizに由来)コレと呼ばれています。他にデュリプワやデュリアクプワという呼び方もあり、そこにさらにとある食材を使用すると次で述べるような料理になります。
デュリジョンジョン
先述した豆ごはんを作るにあたって黒いマッシュルームの汁で炊きこんだ場合はデュリジョンジョンという名前の料理になります。他にもデュリアクジョンジョンという呼ばれ方もあります。
トムトム
パンの木の実をやわらかくマッシュしたもので、ガーナのフフやコートジボワールのフトゥに由来している主食になります。
タソ
タソはハイチを代表する肉料理のひとつになります。こちらは肉を柑橘汁やエピスと呼ばれるシーズニングにあらかじめ漬け、これを揚げます。
ここではヤギ肉や豚肉を使いますが豚肉の場合はそこにさらにピマンを使ったタレがさらに加わります。
プルヌワ
これはハイチの北部に位置する都市カパイシュの名物でマリネした鶏肉(プル)をカシューナッツと煮た料理になります。
レギュム
野菜料理で、西アフリカの食文化に由来しています。西アフリカではドロドロ煮の料理が多く、これも雑多な野菜をドロドロ煮にしてご飯にカレーのようにかけて食べます。
スプジュム
カボチャプーレの入った具沢山のポタージュスープで、正月であると共に独立記念日でもある1月1日に主に食べられる料理です。
これは植民地支配下の時代はカボチャが許可なしでは食べられなかったことに由来した独立の象徴の料理です。
ピスク
こちらは小魚を柑橘汁などにマリネして揚げたものになります。これは主におやつとして食べられることがほとんどです。
アクラ
アクラではマランガ芋と呼ばれる芋や塩漬けにした魚などを混ぜ、最後に揚げる揚げ団子になります。こちらもピスクと同様におやつとして食べられることが多いです。
これまでハイチの料理について紹介していきましたがいかがでしたでしょうか?
カリブ海に浮かぶ最貧国としてのイメージがどうしても先行しがちのハイチですが食文化に目を向ければ歴史と土地が生み出した独特で豊かな食文化が形成されています。
また、日本国内でもハイチ料理を提供する店は少ないとはいえどもあるとのことなのでこの機会に味わってみてはいかがでしょうか?
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