ポルトガル料理の概要
ポルトガルは国土の半分以上が海に面した国。そのため、新鮮な魚介類が豊富で料理にも多く登場します。
さらに小麦を主食とするヨーロッパの中で、米が多く使われるのも特徴。そのため、ポルトガル料理は日本人の口に合うものが多いとも言われています。
ポルトガル料理の特徴は、素材の味を活かしたものが多いということです。ヨーロッパの料理といえば、フランス料理に代表されるように濃厚なソースを使ったものも少なくありませんが、ポルトガル料理は素材の味を引き出したものが中心です。
ポルトガル料理の基本はオリーブオイル。オリーブオイルは調理はもちろん、味付けや香り付けにも使われます。
さらにポルトガルは海外に多くの植民地を持っていたことから、世界中の料理の要素が取り入れられています。
ポルトガル料理の食材
ポルトガル料理は魚介類を中心に、肉類やチーズ、野菜、米などが多く使われます。
魚介類
ポルトガルは日本と同様、海の恵みが豊かな国。そのため、様々な種類の魚介類が食べられています。イワシやイカ、エビ、アジ、貝類などがありますが、日本と同じようにタコを好んで食べる国は世界でも珍しいと言われています。
また、生の魚だけでなく塩漬けにしたタラの身「バカリャウ」はポルトガルを代表する食材です。バカリャウは保存を目的としたもので、三百以上のレシピがあると言われています。
肉類
ポルトガル料理の食材は魚介類が中心ですが、肉類の料理も豊富です。ポルトガルでは、肉を食べるのは貴族など特権階級だけとされていましたが、現在では庶民の食卓でも肉料理が人気です。
肉は牛肉や豚肉が中心ですが、赤身肉だけでなく、内臓や豚足料理も豊富。それ以外にも、ソーセージや塩漬けなどの加工肉も数多く作られています。
チーズ
他のヨーロッパの国々と同様、ポルトガル料理でもチーズはよく食べられています。
ポルトガルのチーズの中でも、ヤギや羊の乳から作られたものは名物のひとつです。一般的なチーズよりも強いうま味と香りがあり、チーズ料理に使われるよりも、そのまま前菜などに使われています。
野菜
ポルトガル料理では、ニンジンやジャガイモ、タマネギ、キャベツなどが多く使われます。さらにポルトガル料理に欠かせないのが豆。インゲンマメやエンドウマメなど様々な種類が料理に使用されます。
米
日本人にとって親しみ深い米もポルトガル料理では人気があります。
日本のように炊いたままというよりも、シーフードでスープを取ったリゾットや肉類などの煮汁とともにオーブンに入れて焼き上げる炊き込みご飯のような形で提供されます。
代表的なポルトガル料理
パステイシュ・デ・バカリャウ
パステイシュ・デ・バカリャウはバカリャウとジャガイモを使ったコロッケです。
パステイシュ・デ・バカリャウはポルトガルの国民食と言われていて、家庭はもちろんレストランでも人気のメニューです。専門店も多く、それぞれの店が味を競っています。
バカリャウ・コン・ナッタス
バカリャウ・コン・ナッタスはバカリャウを使用したグラタンです。バカリャウを牛乳や水で戻したものとタマネギ、ジャガイモを合わせてオーブンで焼き上げる料理です。
バカリャウ・ア・ブラス
バカリャウ・ア・ブラスは細く切ったバカリャウとジャガイモ、卵を合わせて炒めた料理です。シンプルな料理ですが、手軽なので朝食のメニューに登場することもあります。
サルディーニャス・アサーダス
サルディーニャス・アサーダスはイワシの塩焼きです。
新鮮なイワシを使用するため臭みがなく、ポルトガルでは日常的に食べられている料理です。サルディーニャス・アサーダスは塩にレモン、オリーブオイル、ビネガーなどを掛けて食べられます。また、パンにはさんでサンドイッチとして食べることもあります。
トリパシュ
トリパシュはポルトガルのもつ煮で、北部の大都市・ポルトの名物です。ハチノスなどの牛のホルモンやソーセージ、白いんげん豆などの食材が使われます。臭み消しにはコリアンダー(パクチー)が使われることも特徴のひとつです。
フランセジーニャ
食パンにハムやソーセージ、目玉焼きをサンドしたものの上から溶けたチーズをたっぷりと掛け、トマトソースを添えて楽しみます。
フランスの「クロックムッシュ」をポルトガル風にアレンジして生まれたものだと言われています。
ビーフェ
ビーフェはポルトガルのステーキです。
薄切りの牛肉や豚肉が使われ、トッピングに目玉焼きが載せられます。付け合わせにはジャガイモのソテーやソーセージ、炒めたお米などが使われていて、時間がないけれどしっかり食べたいという場合のスタミナランチとして親しまれています。
ビファーナス
ビファーナスはポルトガルで愛されているサンドイッチの一種です。スパイスを利かせたスープで煮た薄切りの豚肉をたっぷり挟んだサンドイッチで、ランチはもちろんビールのおつまみとしても用いられます。
アソルダ
アソルダはポルトガルのスープ料理です。特徴はパンを入れて食べること。地方によって様々な食材が使われていて、消化にもよいことから旅行者にも愛されている料理です。
カルド・ヴェルデ
カルド・ヴェルデはポルトガルのスープです。
ソーセージとジャガイモ、キャベツ、ケールなどが使われていて、味付けは塩とオリーブオイルだけと非常にシンプル。家庭でもよく作られているため、ポルトガルの味噌汁と呼ばれることもあります。
ポルボサラダ
ポルボサラダはタコを使ったサラダです。茹でたタコをパセリやニンニク、オリーブオイル、塩などでマリネしたもので、前菜や白ワインのおつまみとしても楽しまれています。
タコを使った料理としては、トマトソースでタコとお米を煮込んだ炊き込みご飯「アローシュ・デ・ポルヴォ」も人気です。
パステル・デ・ナタ
パステル・デ・ナタはポルトガルのスイーツで、日本では「エッグタルト」として知られています。甘さは控え目で、パイ生地の食感とシナモンの香りが魅力です。
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