「麻婆豆腐の起源」代表的な四川料理

アジア料理

四川料理と麻婆豆腐の概要

四川料理というと、唐辛子がたくさん入ってるものや、山椒を多用するなど、辛いイメージのある料理です。

四川料理は、ただ辛いだけの料理ではありません。そこには奥深い魅力がたくさん隠れている料理でもあります

そんな四川料理のなかでも代表的な料理と、その中に含まれる香辛料についてご紹介します。

四川料理で使われる香辛料

ところで料理を美味しく作る上で、欠かせないものとされている7つの味覚があります。

7つの味覚とは、甘味、酸味、辛味、苦味のほか痺れや香り、塩味も含まれます。この7つの味覚がバランスよく、組み合わされることで、私たちは美味しいと感じているといわれます。

痺れる辛味を特徴に持つ四川料理

四川料理は、とくにこの中の、痺れる辛味を特徴に持つ料理でもあります。

どうして四川料理が辛味を特徴とする料理となったのか、それは四川料理が誕生した地に由来します。

四川料理は、中国のほぼ中央部に位置する四川省というところの郷土料理です。この四川省という地は、内陸にあり盆地の気候にあります。

夏は湿度が高く暑いのに、冬は氷点下まで気温が下がる極寒の地になります。

そんな寒暖の差の激しい土地では、唐辛子などの辛味で発汗を促したり、山椒の痺れるような辛味や香りで食欲を上げる料理が重用されました。

土地柄を生かして栽培されたそら豆や大豆

また、土地柄を生かして栽培されたそら豆や大豆なども、発酵させて豆板醤や豆鼓醤となり、料理の味を盛り立てました。

このように内陸の環境を生かし、野菜や大豆をスパイシーに、そして飽きずに食べるために作られたのが四川料理です。

代表的な四川料理である麻婆豆腐

四川料理の代表的なものとしては、麻婆豆腐があります。

中国の花椒と呼ばれる山椒をたくさん使用し、唐辛子や豆板醤で甘辛く豆腐や肉を炒めた麻婆豆腐は大人から子供まで大好きな方も多い料理です。

麻婆豆腐の起源

麻婆豆腐は、1874年ころに四川省の成都で誕生した料理と言われています。

当時、成都にあった料理店でお腹をすかせたお客さんに、店の店主の奥さんがありあわせのものを炒めて提供したのがたいそう美味しくて評判になったのが起源です。

麻婆豆腐の名前の由来

ちなみに麻婆豆腐の名前の由来は、その店の店主の奥さん、料理を作ったとされる張本人ですが、彼女の顔にたくさんのあばたがあったことが由来です。

中国語であばたを麻点と書きます。

麻点のある婆さんの豆腐、ということで麻婆豆腐と名付けられたそうです。

麻婆豆腐と中華鍋

美味しい麻婆豆腐の作り方は、やはり中華鍋で作るのが一番です。

中華鍋をしっかりと温め、白い煙が出たところに油を注ぎます。

ここでごま油などの香味油を使いたいところですが、油の扱いになれている料理人でなければ、大抵の人は油を焦がしてしまい、その良さを消してしまう可能性があるとか。普通の菜種油などを使うのが良いようです。

そして油が温まったら、唐辛子と山椒を加えて、香りが出るまでしっかりと炒めます。

中華鍋を巧みに動かし、熱の伝導を均一にするのが秘訣なのです。とはいえ、中華鍋はかなりの重さがあります。

加えて、これを片手で持って熱の伝導を均一にするため、回し続けるのですから、相当な握力と腕力も欠かせません。

しっかりと香りが出たら肉を入れます。

麻婆豆腐に使う肉

このお肉について、麻婆豆腐が誕生した当初は、牛肉を使用していたということです。

現在では豚肉をつかったり、牛と豚の合いびき肉を使用する場合もありますが、当時はこの牛肉から出るエキスを出汁として調理していたようです。

牛肉からはイノシン酸やグルタミン酸といった旨味成分をもつアミノ酸が出ますから、美味しい出汁となったことでしょう。

近年の麻婆豆腐では、こうした牛肉のみが出汁となることはなく、鶏がらスープなどを使用し、香りと旨味をさらに増した出汁が利用されるのが一般的です。

短時間で必要な熱を与える

肉を炒めたところに豆板醤や豆鼓を加え、これらにもしっかりと熱が伝わるよう炒めます

ただでさえ重たい中華鍋にお肉が加わるのですから、更に重量感がありますが、肉が焦げると料理自体が台無しです。

肉を炒めた後、豆腐を加え、そこにスープを投入します。

日本料理などでは、食材に味をしみ込ませるために一度火を止めたりします。熱を放出する際に食材が水分を吸うという点を利用した調理法です。

四川料理ではこうした手法はとりません。

手早く、短時間で必要な熱を与えることを大切にしています。麻婆豆腐を炒める際もじっくりと熱を通してはいけません。

熱い火力にも恐れず、そして手早く料理をする、これが必須となります。

花椒(ホアジャオ)

山椒ですが、中国では香りを大切にした花椒と呼ばれる山椒を使用します。

花椒は、ホアジャオと呼ばれ、麻婆豆腐のほかにも煮込み料理の香りづけや、蒸し料理などでも使う、なくてはならないスパイスです。

花椒はこうした料理に使うほか、漢方としても使われます。

鎮痛や虫下しの効果があり、胃を健康にする効能があると言われています。

また、花椒を植物の油につけた花椒油や、炒った塩と合える花椒塩など、調理の際のスパイスとしてだけでなく食事の際にも多用されています。

医食同源

四川料理を生んだ中国では、医食同源という言葉があります。医食同源とは、医療と食事は同じ根源であるということ。

バランスの良い食生活を送るということが、身体のバランスを保ち、病気を予防することが出来るという考えです。

麻婆豆腐一つとっても、花椒など漢方薬としても用いられるスパイスを上手に活用しています。それを美味しく楽しむことで健康な身体を維持するという考えをもつのが四川料理なのです。

麻婆豆腐のあの辛味によって大量の発汗が促されると、身体の内側の悪いものを出してもらっているような気になります。

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