スーダン料理の概要
スーダンは北にエジプト、南に長年の紛争の果てに市民投票によって分離独立を果たした南スーダン、エチオピア、エリトリア、西にリビア南部やチャド、中央アフリカと接する北アフリカの国で、南スーダンが分離独立するまではアフリカ大陸最大の面積を持つ国家でした。
イスラム法のシャリーアが厳しく法律にも反映されており、アルコールや豚肉などといったハラーム(禁忌の意味)な食事も例外なく刑事罰の対象になっています。そんなスーダンですがどのような食文化を形成しているのでしょう?
スーダンはとても豊かな食文化を持っています。スーダンの東側は紅海に面していることから交易路としても機能していた過去があり、外来文化の十字路として商人や移住者らが常に外より食文化などを伝えていました。
特にオスマン帝国統治下になるとトルコ方面から多くの料理や作物などが伝わるようになり、中には発祥国と殆ど変わらない料理も見られます。
また、広大な国土を持つスーダンは地域によって気候や環境などが大きく異なります。そのため、作られる作物なども当然のように異なるので地域ごとに異なる食文化が形成されており、北部の砂漠地帯では乾燥に強い作物を中心とした料理があればエチオピア国境付近ではなんとバナナが主食になっていたりと多様性にも事欠きません。
スーダン料理でよく使われる食材
文化の十字路になっていたスーダンの歴史や地域ごとに環境や気候が大きく異なることで豊かで多用性のある食文化を形成しているスーダンですが、実際にスーダン料理ではどのような食材が使われることが多いのでしょうか?それでは早速スーダン料理で使われることの多い食材を見ていきましょう!
肉類
冒頭で先述したようにスーダンはイスラム法であるシャリーアが厳格に運用されているので豚肉を見ることは絶対にありません。
その代わり、スーダンの肉料理では羊肉や牛肉に使用が中心になっており、スープやシチューなどが主になっています。鶏肉についてはあまり使われていないことが多いようです。
小麦
小麦は各地で主食として利用されることの多い食材ですが生産が比較的に盛んなのは感想が厳しい北部などです。
一概に主食とは言っても実は様々で、パンを作るのにつかわれることもあれば小麦粉を使っておかゆを作ることも同様に多く、肉料理ではおかゆも欠かせません。
雑穀
ミレットと言われることの多い雑穀(ソルガムが特に多い)もまたスーダンでは主食としてよく使われる食材です。
主な用途としてはおかゆが多く、小麦以上に乾燥に強く、かつ瘦せた土地でも育つという特性からアフリカ、特にサハラ地域やサハラ以南の広い範囲で主食用や救荒作物として重宝されている食材です。
トマト
トマトはスーダンより北にある地中海沿岸部でもよく使われる食材ですが、スーダンでの使われ方はそれとはやや異なります。スーダンではシチューやスープにトマトを使うことが多く、それ以外ではあまり出番がないのが特徴です。
ゴマ
ゴマはスーダン料理において様々な場面で使われる食材で、味付けなどによく使われます。なお、スーダンは世界的にもゴマの生産量が多い国の一角をなしており、輸出量も多い食材になっています。
プランテーンバナナ
エチオピアとの国境付近になるとスーダン国内でも比較的降水量が多い区分に入るのでバナナを使う料理が見られるようになります。
なお、バナナとは言ってもプランテーンバナナと呼ばれるもので、私たちが日本のスーパーで見るような甘いバナナではなく、主食用のバナナになります。
ジュゴン
スーダンの紅海沿岸部は乾燥が激しく、農耕には不向きな代わりに漁業がおこなわれています。紅海に生息するジュゴンはかつては貴重な食糧源として重宝された過去があり、干し肉にして長期保存をしながら食べられていました。今では食材として使われることは極めて少なくなっています。
代表的なスーダン料理
それではいよいよ具体的にスーダン料理にどのような料理があるのかをこれから見ていきましょう。今回紹介するスーダン料理は数あるスーダン料理の中のほんのごく一部に過ぎませんが、これをきっかけにスーダン料理に関心をもってくだされば大変喜ばしい限りです。なお、スーダン料理は日本でも東京を中心に食べれる店はあります。
アッシーダ(Asseeda)
アッシーダはエチオピア国境付近を起源とするトウモロコシ粥ですが、代わりに小麦粉やソルガムなどを利用している場合も少なくないです。アッシーダは主にシチューなどを食べるときの主食として食べられることが多い料理です。
タ―マーヤ(Tamia)
タ―マーヤを説明する前にまずはトルコでよく食べられるファラフェルについて説明しましょう。ファラフェルとは潰した豆を揚げたものをピタパンにはさんで食べる料理ですが、タ―マーヤとはそのスーダン式の名称です。
トルコで作られるファラフェルとレシピに大きな違いはないようで、典型的な文化の十字路としての歴史を反映した料理と言えます。
ゴラーサべダマ(Goraasa be dama)
ゴラーサと省略されることの多いこの料理はトマト、カルダモン、シナモン、青唐辛子などで味付けされた肉シチューで、先述したアッシーダなどと食べることが多いです。
グラーサ
特に北部で見られることの多い主食で、これは小麦粉を使ってできた丸パンのような主食になります。
ヨーグルトサラダ
中東アラブ圏などではよく見られる料理で、スーダンも例外ではありません。ヨーグルトサラダの中にはきゅうりなどが入っていることが多いです。
デュラ
野菜とふかしたトウモロコシもしくは雑穀と混ぜて食べる料理になります。
カワリ
野菜とスパイスなどの入った羊肉スープになります。こちらも先述したアッシーダなどと食べることが多いです。
ガハァ
ガハァはアラビアコーヒーを指すのですがスーダンでは砂糖の他にシナモン、生姜も入れるのでややスパイシーな味わいになります。
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